昨日は水中ビークルフリーミーティングに参加して来ました。今回はその時のお話をと思ったのですが、参加メンバーのYDDさんから、昔今井科学から販売されていたサブマリン707の小型潜水艇707ジュニアC級について、面白い話をメールでいただきました。転載の許可をいただきましたので、少し長いですがこちらに掲載します。
その前に707ジュニアって何?という方は、ノボさんの「空想科学潜水艦博物館」の
解説記事を御覧ください。
ちなみにRC化した707ジュニアはこんな感じ。これは今回話題となる今井科学製ではありません。
またYDDさんはご自分の
サイト「STARFLEET YDD」で、「
サブマリン707自動浮沈の考察」という記事を書かれています。こちらも面白いのでぜひご一読ください。
このお話は、昔ラポートから出版されていたサブマリン707の復刻版にある、707ジュニアC級プラモの記事↓がきっかけでした。
junior707 class C_2.pdfそれでは、YDDさんのお話です。
情報ありがとうございます、707シリーズは小学生の時に相当作ったのですが、このジュニアCは実物を見たことが無いので気になっていました。やはり本物はすでに存在しないんでしょうね。
行きつけのプラモ屋のオヤジが子供の頃ジュニアCを池で走らせたら、そのまま沈んでいって戻ってこなかったと言う話をしていたので気になっていました。ジュニアC自体を私は知らなかったんですよ。
説明書を見ていて思いましたが、このサイズのジュニアなら浮力バランス調整もかなりシビアに必要になるはずです。全体浮力とさらには前後のバランスも重要な要素です。当時の電池も何を使うかによってだいぶ変わると思います。
前期型の説明で紙巻き電池の時には重りを追加・・・は私も紙巻き電池は記憶にはなく、当時使っていたのはナショナルの赤か黒でしたので、もしかしたら私の小学生の頃はジュニアCはもう売っていなかったのかなとも思った次第です。
マブチ35モーターというのも記憶にないですし。本当に貴重な情報をいただきありがとうございました。
この組み立て説明図を見ていると、江戸時代のからくり人形を連想させるメカニカルギミックと言う印象ですね、しかも司令塔にライトまで仕込むとは・・・、これは凄いですよ。ここまでこだわるかと。
そう言えばライトが点くの話は模型屋のオヤジも言ってましたね。
ジュニアCの現存品はなくても、それでも設計図を見れたことはとても参考になりました。設計図は後期のものですね。なかなか超絶な設計だったと言うことも理解できましたし、もし今あったらアクアモデラーズのメンバーが競って製作するようなおもしろメカです。そして、この組み立て説明書を見て、なぜ水没して戻らないかという理由もよくわかりました。
私が思うに、多分99%以上のジュニアCが池の餌食になってますね。当時の大人が真剣に作ったとしても、長く遊べるモデルに出来たかは疑問です。このモデルの設計製作段階でどういう実験をやったかも興味があるところです。
当時の整形技術と接着剤、そしてグリスだけではこのドライハルの船体の防水はほぼ不可能であったでしょう。特にキャノピー回りはきれいに作ろうと接着剤の付け方も甘かったはずです。多分ここが最大のポイントになっていたと思います。
潜舵のあたりと、プロペラ回りからの浸水は必須でしょう。元々ここはパッキンがあるので水を出す前提だったのは間違いないでしょう。ネジ止めというのがそれを物語ります。けれども、司令塔回りの防水が完璧で
なければその前提も崩れます。司令塔回りからの浸水は相当短時間で浮力を奪う事になるでしょう。
スイッチ回りは言うに及ばず、電池キャップのパッキンも果たして役に立ったかどうか・・・。
しかもこの設計では上下の重心配分が甘く、下に重さが集中していないのでペラの反力に耐えられそうもないので、ペラ自体の幅が細く反トルクが少なくなるように作られているんだと思います。ですからなおのことキャノピー部分の浮力が反トルクに対して重要になるはずです。
司令塔回りから浸水が始まったときに水が船底まで落ちればいいのですが、(といっても漏水がいいわけないのですが)潜舵調整用のネジが通っているせいで中途半端な浮力タンクになっており、司令塔内に水が残る可能性もあります。
司令塔内に水が残ってこの部分の浮力が減ると反トルクに勝てなくなり傾きだしてしまうと思われます。
そうすると潜舵の効果は斜めになるのでなおさら浮沈せずに潜ったままになり緩やかに曲がりながらすすみ、その最中にさらに浸水が進んで浮力を奪われ確実に沈んでいきます。いわば負の相乗効果です。
さらに言えば、この大きな回転ペラで推力を出しつつ、反トルクを強くしないというのはあまり高回転では無かったのではないかと推測できます。
そうなると速度はそれほど速くないでしょうし、その状態で浮力が強すぎるとダイナミカルダイブとして潜らないので自動浮沈はしなくなります。
となると、適度な浮力という設定が必要になるのですが、このジュニアの場合水に入れたときにキャノピーのガラスの上位置が水面ぎりぎりというのが精一杯ではないかと思います。
さらにペラの径が大きいので、ペラが完全に水没している状態ならそのあたりが合理的です。もしそうだとするならば、あまり全体浮力が大きい状態ではありませんので、少しの浸水ですぐ沈むのもうなずけます。
船体形状や推進方法を考えると、もともとがあまり浮力を強くする設計は出来ないはずです。
水は容赦なくごく僅かな隙間から入り込みます。相当気をつけて組み立てても司令塔のキャノピー回りはかなり難しそうだというのが私が思った印象です。
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